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アンビバレンツ(下)

  • 2012/04/17 01:26
  • Category: 小説
※この小説は「アンビバレンツ(上)」から読む事を強くお勧めします





社長室、正志は脅迫状を握りしめて部屋の中をあたふたしていた。
警察に連絡した方がいいのだろうか…?いや、警察はダメだ。紀美代の為なら10億くらい構わない。10億円を持って公園に行こう。
そこまで考えた時、社長室の扉が開いた。明が部屋に入ってきたのだ。
正志の様子がおかしいと思ったのか、「何かなさいましたか?」と明が声をかけてきた。
正志は努めて冷静になりながら、「いや、何でもない。ちょっと席を外すから会社の事は任せるよ。」と言った。
明はますます怪訝そうに、「どちらへ?」と尋ねてきた。
正志は、「なーに、ちょっと外の空気を吸いに散歩にでも行こうかと思ってね。」と言った。
明は納得したような様子ではなかったが、「そうですか、分かりました。」と言った

正志は10億円を持って公園にやってきた。
紀美代は正志が来るのを木の陰から見ていた。
やっぱり来たわ。彼をここで殺すのはとても残念だけど、10億円のためだもの、仕方ないわよね。あら、いつものお気に入りのネクタイをしていないわ。きっと凄く焦っていたんでしょうね。紀美代は正志がこちらに近づいてくるのを待ちながらそう思った。
紀美代は正志の前に出た。
正志は「紀美代!大丈夫か!?脅迫状を送ってきたやつらはどこだ?」と早口に言った。
紀美代はふふっと笑いながら「私なら大丈夫よ。だってその脅迫状は私が出したんだもの。」
「えっ…?」正志は困惑顔だった。「そんなはずはない、君がそんなことをするはずはない。」
そんな姿を見ながら紀美代は、男って本当に馬鹿ね。と思った。
「じゃあこれを見たらどうかしらね?」紀美代は拳銃を正志に向けた。
「!?」正志の目が見開かれた。「君が…この脅迫状を…?」正志は信じられないという顔で紀美代に聞いた。
「そうよ、貴方は所詮お金のための男なの。今まで私に沢山いい思いをさせてくれてありがとう。」紀美代は笑った。

その時、「やめろ!」という鋭い声が走った。
正志の後ろには息を切らした明が立っていた。
「お前…いつから」正志が言った。
「社長…いや、正志の様子がおかしかったから後をつけてきたんです。」
紀美代はまずい展開になったと思った。「アンタ警察に連絡したの?」紀美代は自分の声が緊張で震えているのが分かった。
明は苦痛の表情を浮かべながら「いや…警察には連絡していない。さあ、素直に銃を下に置くんだ。」と言った。
紀美代は安堵した。「ならいいわ。貴方もここで殺してあげる。」
「やめろ!今ならまだ間に合う!」明が叫んだ。
紀美代は笑いながら言った。「まだ間に合うですって?笑わせるわ。これだから男って本当に馬鹿なのよね。さて、お喋りはここまでにしてそろそろ死んでもらおうかしら。」
「ッ!?」明が息を飲む声が聞こえた。

しかし、正志は冷静な口調でこう言った。「いいや、紀美代は俺を撃てないよ。」
明が叫んだ。「馬鹿やろう!この女がどういう考えでお前と接していたか分かっただろう!この女はお前の考えているような女じゃないんだ!」
紀美代も言った。「本当に貴方は国宝級の天然ね。いいわ、すぐに死なせてあげるから。」
それでも正志は全く動じずにこう続けた。「もし殺そうとしていたなら、もう撃っているさ。俺は死ぬまで紀美代を信じる。」
そして、正志は紀美代にゆっくり近づいた。
「もしかしたら、俺が知らないところで紀美代を傷つけてしまったのかもしれない。そうだったのなら俺は生きている間に紀美代に謝りたいんだ。どうかその銃を下してくれないか。」
「やめろ正志!」叫びながらも明はその場で足がすくんで動けないようだった。
「じゃああの世で私を憎んでもらおうかしら。本当に貴方は馬鹿な男だったわ。」紀美代は近づいてくる正志の心臓に銃口を向けた。
そして…
(ダメッ…!)


バーン!

















あたり一面に血が飛び散った。
「!?」正志はこれ以上ないような苦痛の表情を浮かべていた。
「正志!」明が叫んだ。
紀美代は言った。「本当に馬鹿な男。本当に…」
紀美代は倒れた。
紀美代の胸は真っ赤に染まっていた。
「紀美代!」正志は紀美代のそばに駆けつけた。
紀美代は銃を発砲する時、自分の胸に向かって発砲したのだ。
「正志さん…」そこで紀美代は全てを理解した。
私は正志さんの事がずっと好きだったんだ…。彼の腕時計が変わったことにすぐ気が付いたのも、彼がピーマン嫌いだという事も、彼のお気に入りのネクタイを知っているのも、全部彼が好きだったから…。
「私は…私は…」どうかしてこの気持ちを彼に伝えないと…。…もう遅いわよね。こんなことをして、それで私が彼の事を好きだなんて…。本当は私がバカだったんだわ…。
しかし、正志は紀美代の言いたいことを全て理解しているかのようにこういった。「いいんだよ…。紀美代が俺の事を好きってことは世界中で一番俺が分かってる。俺の方こそ今までずっと紀美代を苦しめちゃってごめんね。」
彼は最後の最後まで私を信じてくれたんだわ…。好きな人にそこまで信じてくれるなんて、これほど嬉しいことはあるかしら…。
正志はすぐに救急車を呼ぼうとした。
しかし、紀美代は「やめて…。」とそれを止めた。
「私は…もうだめだわ…。だからその前に…」
正志の目には涙が溜まっていた。それでも、必死に泣くまいと堪えていた。
「紀美代…。」正志は紀美代を抱きかかえて、キスをした。
ああ、これが本当の私の気持ちだったんだわ…。お金なんかとは違う…。凄く…凄く幸せ…。
そして紀美代は静かにまぶたを閉じた。
「紀美代ー!」正志はついに泣き出して紀美代を強く抱きしめた。明は膝をがくんと地面につき、静かに涙を流していた。

最後に…私の気持ちが彼に届いて…本当に良かった…。



アンビバレンツ(ambivalent)
同じ物事に対して、相反する感情を同時に抱くこと。一人の人物について、好意と嫌悪を同時に持つ、などのような場合が該当する。
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  • 2012/04/17 15:42

ニコ厨の2チャンネラー

コメントありがとうございます^^

アンビバレンツの意味が分かってもらえたようで嬉しいですw
拙い小説でしたが、読んで下さってありがとうございました><
  • URL
  • 2012/04/19 00:57

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